共鳴社会 第四章
馬を中心とした暮らしの型
ここまで見てきたように、人は意志や努力によって変わる存在ではありません。
人は、暮らしの中で変わります。
暮らしのリズムとテンポの中で関係に触れ、共鳴が生まれるとき、人は少しずつ変わり、そして育っていきます。
だからこそ、この試みは教育制度として作られたものではありません。
それは 暮らしの型 です。
ここで言う暮らしとは、単に生活するという意味ではありません。
暮らしとは、身体知が育つ状態です。
暮らしには
リズム
テンポ
関係
があります。
そして暮らしの中には、圧倒的な他者が存在します。
それは
自然
動物
といった、人間を超えた存在です。
こうした存在と共に生きるとき、人は身体知を取り戻していきます。
この暮らしの型を実践する場所として、私たちは 牧場 を選びました。
牧場は、単なる施設ではありません。
牧場は、自然と命をつなぐ境界に位置する場所です。
牧場では
自然
動物
人
が関係の中で生きています。
牧場は、人間だけの社会とは違います。
自然のリズム
命の変化
動物の動き
そうしたものの中で暮らしが流れています。
命は、関係の中でしか存在しません。
自然、命、動物、そして人が関係の中で生きるとき、そこに 風土 が生まれます。
風土とは
自然と命と人の関係が生み出す状態です。
この暮らしの中心にいるのが 馬 です。
馬は、人間のように言葉で教えることはありません。
説明もしません。
評価もしません。
しかし馬は、関係の中で人に影響を与えます。
人は馬と共に暮らす中で
距離
呼吸
緊張
リズム
テンポ
を身体で感じ取りながら関係を作っていきます。
その関係の中で身体知が育ち、共鳴が生まれます。
この暮らしの中で、人は自然に変わり、そして育っていきます。
この牧場の中では、人の在り方を三つの状態として見ることができます。
それが
風
土
種
です。
これは役割ではありません。
状態です。
風は巡る存在です。
訪れ
触れ
揺らし
共鳴を残して去ります。
この場を訪れる人は、すべて最初は風です。
生きることに困難を感じている人も
社会から離れてしまった人も
孤独を感じている人も
ただ訪れた人も
すべて最初は風としてこの場に触れます。
土は、場を整える存在です。
土は場を所有しません。
管理もしません。
ただ
馬の暮らし
人の暮らし
場の呼吸
を整え続けます。
土があることで、場は続いていきます。
そして 種 があります。
種は可能性です。
人は教えられて変わるのではありません。
風が巡り、土が整えるとき、その風土の中で種は芽吹きます。
芽吹いた種は、やがて
風となり
土となります。
この巡りが、この暮らしの型の中心にあります。
この牧場は
教育施設ではありません。
研修施設でもありません。
ここは 巡礼の場 です。
人は
一日
数日
数週間
数ヶ月
数年
それぞれの時間でここを訪れます。
時間の長さは重要ではありません。
重要なのは 関係 です。
風が巡り
土が整え
種が芽吹く。
その循環の中で、人は変わり、育っていきます。
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